【マーケティング③】セグメンテーション・ターゲティングで市場を切り分けよ

セグメンテーション/ターゲティングとは?

今回は、マーケティングにおいて重要な概念である、セグメンテーション/ターゲティングについて解説させていただきます。

さっそくですが、セグメンテーションとは顧客・市場を共通する特徴で分類することであり、ターゲティングとは分類したセグメントの中で自分がどこを狙うべきかを決めることです。

例えば、ファッション市場は年齢と性別で分類することもできますし、価格や提供方法で分類することもできます。これがセグメンテーションです。

そのうえで、自分の強みを考えながら、「よし!20代の女性セグメントを狙おう!」「高価格のオンラインチャネルに勝機を見出そう!」といった具合で、ターゲティングを行うことができます。

商品やサービスにあふれる現代において、誰にでも当てはまるような商品やサービスを提供されても響かないですよね。また、投下できる経営資源にも限りがあるわけなので、自分にとって意味あるセグメントのみに進出し、重点的に育てていく必要があります。このような背景からも、セグメンテーションとターゲティングは非常に重要な考え方と言えるのです。

セグメンテーションの切り口

さて、ここではセグメンテーションにはどのような切り口があるのか見ていきましょう。セグメンテーションの切り口は、大きく分類すると4つあります。

1つ目は「地理的変数」です。これは居住地域や気候といった地理で分類することを指します。全国チェーンのお店が、関東と関西で少し味付けを変えていたりするようなイメージです。

2つ目は「人口動態変数」です。これは年齢、性別、職業、所得といった分類が該当します。「若者向けの商品を開発しよう」「フリーランスを対象として取組もう」といった考えですね。

3つ目は「心理的変数」です。性格やライフスタイルといった心理的な差分で分類することを指します。「新しいサービスだけど何でも試してみたい性格の人にはウケるかも」といった発想が該当します。

4つ目は「行動変数」です。使用頻度や過去の購買頻度など、行動を軸にして分類するやり方です。「過去2回以上商品を買った人に再度アプローチすべきでは?」といったことが該当します。

顧客や市場を切り分けるセグメンテーションはこれら4つに分類されますので、「どんな切り口がいいかな?」と感じた際のヒントとして、地理的変数・人口動態変数・心理的変数・行動変数を覚えておきましょう!

良い切り口とは?

さて、ここまででセグメンテーションの「やり方」はお伝えしてきましたが、セグメンテーションの「良し悪し」はお伝えしておりません。ここでは、良いセグメンテーションの4つの条件についてお話ししましょう。

1つ目の条件は「市場規模」です。そもそもセグメントを切り分けたところで、そのセグメントが非常に小さな場合、自社が取り組むに値しません。しっかりとした規模のあるセグメントを見極めてください。

2つ目の条件は「成長性」です。たとえ市場規模が十分でも、今後下火になっていく市場を魅力的ということはできないでしょう。将来的な成長を見込むことができる市場を特定するようにしましょう。

3つ目の条件は「競合状況」です。市場規模・成長性ともにOKとなっても、その市場に多数の競合がひしめき合っていては意味がありません。競合が少ない、あるいはいたとしてもしっかりと打ち勝っていける市場を見つけてください。

4つ目の条件は「到達可能性」です。魅力的な市場と分かったとしても、自分がセグメントに働きかけることができなければいけません。そのセグメントと接点を持っている、そのセグメントで活きる強みを持っているということが、魅力的な市場において自分が戦うことができることを保証してくれます。

何度も何度もセグメンテーションを行いながら、これらの4つの条件をしっかりと満たしているかを確認してください。そのうえでもし満たしていない場合は、再度顧客・市場を切り分け、価値のある切り口が見つかるまで模索しましょう。

ターゲティングのポイント

セグメンテーションだけではなく、ターゲティングについてもお話ししておきましょう。

既に述べた通り、ターゲティングはセグメンテーションで分類した顧客・市場のうち、自分がどのセグメントを攻めるべきかを定めるものです。

ここで注意していただきたいのは、考え方を整理するためにセグメンテーションとターゲティングは分けて語られることが多いですが、実際はほとんど同時進行で進んでいくということです。

具体的には、対象となる顧客・市場全体をなんとなーくセグメンテーションして、そのあとにターゲティングを行うという独立したステップではなく、セグメンテーションの最中に、常に念頭には「どんな切り口であれば自社の魅力が活きるだろう?」という考えを巡らせておき、ターゲティングを意識しながら顧客・市場の分類を行うのです。

セグメンテーションとターゲティングは表裏一体であること、自分が狙うべきポジションから逆算してセグメンテーションを行う必要があることを、決して忘れないようにしてください。

アサヒスーパードライの事例で考える

ここまでの学びを、アサヒスーパードライの事例を踏まえて振り返っていきましょう。

アサヒがスーパードライを発売する前のビール市場は、キリンのラガービールによってその大半を占められていました。ラガービールは味わい深く濃厚なビールであり、当時のビールと言えばまさにこのようなテイストでした。

しかし、この逆境に立ち浮かうべく、アサヒは消費者の嗜好が変化してきていること、具体的にはビールの味が濃すぎると感じる消費者や、食事と一緒に飲むためにより軽いビールを好む消費者が増えていることに注目しました。

これをセグメンテーションで表すと、ビール市場が「しっかりとしていて濃厚な味わい」がメジャーであったところを、「軽くて飲みやすいドライな味わい」という新しいセグメントを見出し、このセグメントにターゲットを定めることで大人気を博し、今では業界トップのシェアを築くまでに至っています。

このセグメントだからこそ、市場規模・成長性・競合状況・到達可能性をすべて網羅しており、かつ自社のこれまでの強みを活かすことができたため、アサヒは素晴らしい結果を手にすることができたと言えるでしょう。

マーケティング全体における位置付け

最後に、セグメンテーションとターゲティングを、マーケティング活動全体の視点から、簡単に触れておきましょう。

マーケティング活動は、まずは顧客・市場のCustomer、競合のCompetitor、自社のCompanyといういわゆる3Cの観点で環境分析を行って事業機会を見極め、その後は今回お話ししたセグメンテーション/ターゲティングで狙うべきセグメントを決め、そしてそのセグメントにおいて自分の優位性をどのように発揮して戦っていくかというポジショニングを行い、最後に商品のProduct、価格のPrice、流通経路のPlace、宣伝方法のPromotionという4Pの観点からより綿密な事業内容を作り上げていきます。

今回はセグメンテーションとターゲティングに絞ったお話しでしたが、その前後の流れについてもしっかりと理解しておくことが必要です。詳細を知りたい方は、ぜひ別の記事をご覧いただき、学びを深めてみてください。

まとめ

今回は、マーケティング活動で重要なセグメンテーション/ターゲティングについてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか?

  • セグメンテーションとは顧客・市場を共通する特徴で分類することであり、ターゲティングとは分類したセグメントの中で自分がどこを狙うべきかを決めることです。
  • セグメンテーションは地理的変数・人口動態変数・心理的変数・行動変数という4つの分類ができ、市場規模・成長性・競合状況・到達可能性の条件を満たしたセグメントを見つける必要がありました。
  • セグメンテーションとターゲティングは表裏一体であり、自分が狙うべきポジションから逆算してセグメンテーションを行うようにしましょう。
  • マーケティング活動では、顧客・市場、競合、自社という3Cの観点から環境分析を行い、その後にセグメンテーションとターゲティング、そして自分の優位性の発揮方法を考えるポジショニング、最後に商品・価格・流通経路・宣伝方法という4Pの観点からより綿密な事業内容を作り上げいきます。

セグメンテーションとターゲティングをしっかりと理解することで、自分たちが戦う市場を見極められるようになりましょう!

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