ピラミッドストラクチャーで伝えよ

ピラミッドストラクチャーとは?

ピラミッドストラクチャーとは、自分の思いを伝える際にまずは結論を述べ、そのあとに結論を支える根拠を述べていくコミュニケーションツールです。あなたの周りで「この人の話は分かりにくいな~」、あるいはあなた自身が「言っていることが伝わらないな~」と感じている場合は、このピラミッドストラクチャーを使っていないからかもしれません。実際に具体例を見ていきましょう。

ピラミッドストラクチャーを使うべき理由

例えば、ランチのお店を決めようとした際にあなたの友人が、こんなことを言ってきたらどうでしょうか。「いや~、どこに食べに行こうか。昨日は魚料理を食べたし・・・。あ、そういえば近くに美味しいイタリアンができたっぽいからそこ行ってみる? でも、カッチリした雰囲気のお店の気分じゃないしな・・・。うーん、どうしようか。考えてみると、昨日も確かに和食系を食べたけどメインはご飯だったから、同じ和食系でも蕎麦とかありかな? 最近おなか周りが出てきたけど、その店はヘルシーな蕎麦があるらしいんだよね!よし、蕎麦にしよう!」。いかがでしょうか。思いつくまま考えを話すと、聞いているだけでも体力を使ってしまいますよね。

一方、ピラミッドストラクチャーを使うとこうなります。「お昼はそばにしよう! 昨日も和食だったけどご飯とお魚メインだったし、新しくできたイタリアンは雰囲気がカッチリしすぎているし、そこの蕎麦屋はヘルシーなお蕎麦があるからダイエット中でも問題ないしさ」。言っていることは同じですが、かなりすっきりと理解できたのではないでしょうか?

思い付きでつらつらと考えを述べる伝え方がいかに分かりにくく、最初に結論を述べてそのあとに根拠を述べていくピラミッドストラクチャーがいかに分かりやすいかを実感できたと思います。

ピラミッドストラクチャーの作り方

さて、実際にピラミッドストラクチャーの作り方を見ていきましょう。まず起点となるのは、「疑問」です。ピラミッドストラクチャーを通じて、どのような疑問に答える必要があるのかを明確にしてください。ここでは事例として、「新発売してからなかなか売れない環境配慮型洗剤の売上を上げるために値下げすべきか?」という疑問を設定してみましょう。

そのあとは、この「疑問」に対する「答え」、つまり結論をしっかりと書ききりましょう。これがピラミッドストラクチャーの頂点となります。例えば、「価格を現状の500円から、400円まで値下げすべきである」といった具合です。

「答え(結論)」ができたら、それを裏付ける根拠を整理してあげます。「購入者は製品に対する価値をしっかりと感じている」、「一方で、市場における非環境配慮型製品は300円程度であり、現状200円ほど割高になっている」、「顧客は環境配慮という付加価値に対して100円までなら余分に支払ってくれる」という内容が挙げられます。そして、必要に応じて、こうした根拠をさらにサポートしてくれる情報を収集・分析して並べていくのです。

これで、「新発売してからなかなか売れない環境配慮型洗剤の売上を上げるために値下げすべきか?」という問いに対して、まず「価格を現状の500円から、400円まで値下げすべきである」という答えを伝え、そしてその根拠を「購入者は製品に対する価値を感じている一方、市場における非環境配慮型製品は300円程度であり、現状200円ほど割高になっている。

顧客は環境配慮という価値に対して100円までなら余分に支払ってくれるためである」として補足することで、論理展開をすっと受け止めることができます。

「疑問に対して、いきなり答えなんか出せないよ!まずは情報を集めなきゃ!」という不安もあると思いますが、情報収集を始める前にこうした結論・根拠を仮でもいいので作っておき、情報の収集・分析を通してそれを検証するという発想が重要です。

仮の結論・根拠を持たないままたくさんの情報を収集して情報マニアになっても「で、結局何が言いたいんだっけ?」の状態になるという経験はみなさんもあると思いますので、まずは仮の結論・根拠を並べ、そのあとに情報収集するように心がけてください。これは、「仮説思考」という考え方であり、他の記事でも紹介しているので、気になる方はぜひご覧ください!

ピラミッドストラクチャーとロジックツリーの違い

さて、最後にピラミッドストラクチャーとよく混同されるロジックツリーに関して、両者の違いを補足させていただきます。

そもそもロジックツリーは、物事の原因や解決策をモレなく・ダブりなく分解していくための方法であり、ロジックつまり論理が、ツリーつまり木のように枝分かれしていることから名付けられました。

具体的には、「従業員の離職が増加したのかなぜか?」という問いを出発点にして、「会社自体の不満」と「会社の不満以外」にモレなく・ダブりなく分解し、そのうえで会社自体の不満は金銭報酬・人間関係・会社の将来性・業務に対するやりがいなどにモレなく・ダブりなく分解、会社の不満以外は自己実現・健康上の理由・ライフイベントなどにモレなく・ダブりなく分解していくことができます。こうすることで、「従業員の離職が増加したのはなぜか?」という大きな問いを、答えられる粒度感まで落とし込み、また検討の見落としなども避けることができるのです。

ピラミッドストラクチャーもロジックツリーも、縦横の違いはあるものの、頂点から要素が枝分かれしていて似ていますよね。しかし、両者の役割には大きな違いがあります。それは、ピラミッドストラクチャーは自分の言いたいことを論理的に相手に分かりやすく「伝える」ことを目的としている一方、ロジックツリーは物事の原因や解決策をモレなく・ダブりなく分解し、より効果的・効率的に「考える」ことが目的なのです。

ロジックツリーで登場する枝には「分かりやすく伝えるためにはどうすればいいか?」という発想はあまりなく、あくまで「モレなく・ダブりなく考えるためにはどうればいいか?」「思考に広さと深さを与えるためにはどうすればいいか?」という発想です。ピラミッドストラクチャーは「伝えるためのツール」、ロジックツリーは「考えるためのツール」として覚えておいてください!

まとめ

さて、今回学んだことをしっかりと振り返って、身に付けていきましょう!

  • ピラミッドストラクチャーとは、自分の思いを伝える際にまずは結論を述べ、そのあとに結論を支える根拠を述べていく方法です。
  • 思い付きで考えを述べる伝え方は聞き手にとっては大変分かりにくい一方、最初に結論を述べてそのあとに根拠を述べていくピラミッドストラクチャーは理解が非常に簡単です。
  • ピラミッドストラクチャーの作り方は、まず「疑問」を設定し、それに対する「答え(結論)」を設け、そして答え(結論)を支える「根拠」を設定していくというステップで進みます。
  • ピラミッドストラクチャーは自分の言いたいことを論理的に相手に分かりやすく「伝える」ことを目的としている一方、似ている概念であるロジックツリーは物事の原因や解決策をモレなく・ダブりなく分解し、より効果的・効率的に「考える」ことが目的であり、両者はまったくの別物です。

ピラミッドストラクチャーをマスターして、話が分かりやすいロジカルな人になりましょう!

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